屋島旅行記 その6
この旅の優秀なガイド役兼カメラマン(←カメラはプロ)をしてくれている従兄弟。
「いとこ」と言っているが、実はいとこじゃない。面倒だから「いとこ」ということにしている。
そう言うと、ヒトはニヤッとして「ホントはなんなの?」と聞いてくる。
「いとこ」って彼氏彼女のカムフラージュに使われることが多いからね。
「つまり…彼のひいおばあさまと私のおばあさまが姉妹(きょうだい)なのよ。
姉妹の年齢差があったから、ジェネレーションは私の方が上だけど、彼の方が年上なのね…」
と説明すると、ヒトは「なんだ」という顔をする。
屋島をぐるっと周り、南嶺の麓に戻って来た。
の家に立ち寄る。
床の間のある大きなお座敷に通されると、見覚えのある立派な黒檀の床柱があった。
不思議なもので、家の造りとかはほとんど覚えていないのに、特徴ある床柱だけは覚えていた。
「私はこっち側に座って、(ひい)おばあさまはこちらに座っていたわ」
「たぶん、そうやろね」
「短パン穿いたあなたが入ってきて、さっと行っちゃった」と私は隣の部屋を手で示した。
ふとお座敷に足を踏み入れ、お客様をさっと見回して 慌てて去っていった照れ屋の少年が見える。
目の前にいるは、「聞いちゃいない」といった風情で その情景をいまさらながらに照れているんだろうか。
彼の家の前にある池のそばに立ち、家の方に振り向くと、
池の周りの葦は背高く伸び、私たちを送りに出た彼のひいおばさまの姿が見えた。
「こっち側にも草が茂ってた」
「それなら この辺に立っとったんやないかなぁ。この道はこんなに広くなかったし、ここもこんなやなくて池があった」
と 小さな公園のようになった広場を指差す。
再び出発。屋島ドライブウェイで屋島寺を目指す。